ロシア語

一人前の注文(порция)

 夢に見るほどロシアに行きたい欲が強まっている私。コロナ云々が収まれば、旅行に行けるかなと思ったり、定職という足枷のせいでコロナが収まっても海外旅行なんてできないんじゃないかと思ったりする日々。でも、先立つものが無ければ海外旅行は愚か、国内生活すらできなくなってしまう現実。というわけで、生き続けるためには働かなければならない。定職になんてつかなくても、不定期で働いて好き勝手暮らせばいいじゃんという声が聞こえてくるが、意志力が雑魚なので、正社員として就職する生き方を捨てることができない自分がいるのである。世知辛い。

 なんとなく、愚痴みたいなスタートになってしまったが、何を言いたかったかというと、ロシアが恋しいということである。この気持ちを和らげるため(?)に、友人とロシア料理を食べに行った。

 吉祥寺にCafe Russiaというレストランがあり、ロシア料理とグルジア(ジョージア)料理を楽しむことができる。東京にはいくつかのロシア料理レストランがあり、本場の味が楽しめるところと、幾分か日本人アレンジが入ったロシア料理を食べられるところと、完全に日本人がアレンジしたジャパニーズロシア料理を提供してくれるところがある。吉祥寺のCafe Russiaは本場の味が楽しめるロシア料理レストランである。

Cafe Russia

 さて、美味しいロシア料理を食べている時に、思い出したことがあった。それは、レストランの注文の時に知っておくと便利な単語、「1人分」を表すпорцияについてである。

 殆どロシア語わかりません状態なら、「これをアジーン、これをアジーン…」みたいな注文の仕方でよいのである。しかし、慣れてきたら、「これを1人前。こっちは2人前ください」みたいな注文をしたくなるのが人情である。人情であるのだろうか。少なくとも、自分はそう思うのだけれど。

 というわけで、порцияの出番である。女性名詞なので、数詞の形に注意して、「голубцы(ロールキャベツみたいなやつ), одна порция」(対格を使うので、本当はодну порцию)と注文すると、とてもかっこいいのである。しかもこの頼み方なら、1人前の皿には2つのっているはずの肉が1つしかのっていないという事態も避けられるのである。(「だってあなた、1つって言ったじゃないですか?」)

 ちなみに、このпорцияという単語、外食すればよく耳にする単語だと思うのだが、日本でロシア語を勉強するとまずお目にかからない単語の1つである。実際にロシアで生活するとよく使うのにも関わらず、日本の初学者用の教科書に載っていない単語はけっこうあるが、これもそんな単語の1つであろう。

 Порцияのいいところは、覚えておけば1人前の量を質問することができるという点である。例えばレストランなどで、シャシュリク(コーカサス版バーベキューみたいなもの)を注文する際に、1人前には何個の肉片がのっているのかを聞きたいとしよう。そういった場合には「Сколько кусочков в одной порций?」と質問すればよい。  この表現を使えるようになれば、もう怖いものはない。大手を振ってレストランへ行くことができる。しかし、私はそう何度もレストランで食事をするような経済的余裕がないので、結局大衆食堂(столовая)みたいなところに落ち着くことになる。大衆食堂も悪くないけれど、やっぱり、レストラン(ファミレスではない!)で食事をしたいと思うのは人情である。人情であるのだろうか。少なくとも、自分はそう思うのだけれど。

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