『アンナ・カレーニナ』をゆっくり読む 7
Да! Она не простит и не может простить. И всего ужаснее то, что виной всему я, виной я, но я не виноват.
そうだ!彼女は僕を許さないし、許すはずもないんだ。そしてなによりも最悪なのが、すべての原因は僕にあるということ、原因は僕なんだ、しかし、僕は悪くないときてるんだからなぁ。
自分の浮気が発覚して、妻がとても怒っていることを思い出したオブロンスキーのセリフですが、とんでもない野郎だなぁと思わせる内容です。こんなことになったのは自分のせいだけど、でも、女性との関係は不可抗力だよね的なスタンスで、半分開き直っています。
しかし、こんなセリフを言うにも関わらずオブロンスキーは皆から好かれる人物として描かれています。オブロンスキーは、自分が楽しいことは他人も楽しいだろうと純粋に信じているようなところがあり、それが、周りから見ると、人の好い楽しい人物のように見えるのでしょう。
起きた時は夢のことを思い出し、楽しそうですが、すぐに自分のしでかしたことを思い出して、絶望する。自分の気持ちに正直な愛すべきキャラクターです。家族としてはたまったものではないのかもしれませんが…。
さて、ロシア語の語法の話になりますが、ここでは罪(вина)という単語が造格で使われています。この単語は単数造格で使用されると「原因」を表します。その場合、何の原因か、を示すときは与格を要求します。なので、ここではвиной всему яという文になっているわけです。
- 現在地 第1部第1節
自分のしでかしたことを思い出して絶望するオブロンスキー