『アンナ・カレーニナ』をゆっくり読む 6
он весело скинул ноги с дивана, отыскал ими шитые женой (подарок ко дню рождения в прошлом году), обделанные в золотистый сафьян туфли
彼(オブロンスキー)は楽しそうにソファから足を投げ出すと、その足で金色のモロッコ革に妻の手による刺しゅうがあしらわれたスリッパ(去年の誕生日のプレゼント)を探し出した。
小説をゆっくり読んでいると、出てくる小物にすごく注目することになります。6回目にもなって、まだ1ページ程しか進んでいないので、ゆっくりというレベルではないような気もしますが。
さて、文字通りなめまわすようにテキストを読んでいるのですが、ここで出てくるスリッパが、オブロンスキー家が過去に上手くまわっていたことを表す役割をしていることに気づきました。奥さんの手による刺しゅうが入った小物を誕生日に送ってもらえるということは、家庭内の雰囲気は良かったのではないかと推測できるわけです。探し出す(отыскать)の目的語であるスリッパ(туфли)が遠くに置かれてしまうのに、わざわざかっこを入れて誕生日のプレゼントであることを示す意味があったのだろうかと、最初は思ったのですが、そう考えてみると納得がいきます。
普通に読んでいると読み飛ばしてしまうような小さなことに気付けることが、ゆっくり読むことの魅力だなぁと感じています。それにしても、スリッパもモロッコ革だなんて、なんて贅沢な暮らしをしているんでしょう。
- 現在地 第1部第1節
オブロンスキーの浮気が発覚してオブロンスキー家は大混乱だが、素晴らしい夢を見て、幸せそうにそれを思い出すオブロンスキーがスリッパを探す