『アンナ・カレーニナ』をゆっくり読む 11
私は使用人や執事がいた家に育ったわけではないので、家で家族以外の人が家事や自分のお世話をしてくれる日常が想像できないのですが、『アンナ・カレーニナ』は貴族社会がメインに描かれるので、使用人や執事がよく出てきます。
もし明日、突然家に執事が現れたとして、私だったら、距離感がわからなくて、困ったり、横柄な態度をとったりしてしまうのではないかしらん?なんて考えてしまいます。
さて、やっとオブロンスキーと妻以外の登場人物が出てくる場面に辿り着きました。
На звонок тотчас же вашел старый друг, камердинер Матвей, неся платье, сапаги и телеграмму.
呼び鈴が鳴るとすぐに古き友人である従僕のマトヴェイが服と靴と電信を持ち、入ってきた。
『アンナ・カレーニナ』を読んでいると使用人と主人が、独特の信頼関係で結ばれていることを感じられます。また、乳母と子どもなど、色々な人間関係が家庭の中にもあったことがわかります。
執事について書いた小説と言えばカズオ・イシグロ『日の名残り』ですが、イギリスの主従関係と、ロシアの主従関係は、またなにか違う雰囲気があるような気がします。うまく言葉にすることは出来ないけれど、国ごとの主人と仕える者の関係を比較しながら、色んな作品を読んでみるのも面白いかもしれない、ですね。
ロシア語原文はЛев Толстой «Анна Каренина»,(Издательство «Э», 2017,p30)から引用
日本語訳は筆者が行っています(翻訳の精度が低いので、誤訳等ありましたらご指摘ください。助かります)
- 現在地 第1部第2節
オブロンスキーの従僕のマトヴェイが登場する