『アンナ・カレーニナ』をゆっくり読む,  読書日記

『アンナ・カレーニナ』をゆっくり読む 10

 10回目にして、第1章の第2節に進みました。とてもゆっくりしたペースです。『アンナ・カレーニナ』をゆっくり読んでいる間に日本語で書かれた本を3,4冊読みました。日本語の本もゆっくり味わう時間があればいいのだけれど、賃労働者にはなかなか難しいです。

 さて、2節の最初では、オブロンスキーは誠実な人物であることが書かれています。ここで言う誠実さとは、自分に対して嘘がつけないというものであり、道徳的な誠実さではありません。オブロンスキーは自分が浮気をしたからといって後悔することができません。彼の後悔は、「もっと上手く隠せばよかった」ということに尽きます。

Он не мог раскаиваться в том, что он, тридцатичетырехлетный, красивый, влюбчивый человек, не был влюблен в жену, мать пяти живых и двух умерших детей, бывшую только годом моложе его.

彼、つまり34歳の美しい、好かれやすい人間が、生きている5人と死んでいる2人の子供の母であり、彼より1歳しか年下でない妻を愛していないということを彼は悔やむことはできなかった。

オブロンスキー家には5人の子供がいることが、明らかになりました。しかし、2人もの子供が亡くなっているということは、貴族社会においても、出産と育児がどのくらい難しいものであるかということを物語っているようです。貴族階級においても、19世紀のロシアにおける医療や衛生は現在の私たちと比べると、とても開きがあることを感じさせます。

 政治や歴史を学ぶ機会は多いですが、同時代の人々が実際にはどのように、そしてどのような環境で暮らしていたかを学ぶことは少ないように感じます。小説はフィクションなので、全てが本当とは限りませんが、人々がどのように暮らしていたのかを、感じられるという点で、ある時代の人々の生活に寄り添った芸術なのではないかと、私は思います。

  • 現在地 第1部第2節

オブロンスキーは自分に誠実なキャラクターです


ロシア語原文はЛев Толстой «Анна Каренина»(Издательство «Э», 2017,p29)から引用

日本語訳は筆者が行っています(翻訳の精度が低いので、誤訳等ありましたらご指摘ください。助かります)

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