『アンナ・カレーニナ』でロシア語を学ぶ 副動詞①
副動詞は、動詞を副詞のように使用する用法です。
副動詞には「不完了体副動詞」「完了体副動詞」の2種類があります。
今回は「不完了体副動詞」を解説していこうと思います。
不完了体副動詞は不完了体の動詞を変化させて作ります。作り方は以下です。
完了体動詞の現在語幹の最後尾が、ж、ч、ш、щの場合 | 現在語幹+я |
完了体動詞の現在語幹の最後尾が、ж、ч、ш、щ以外の場合 | 現在語幹+а |
これにより、「~しながら」という意味を表すことができます。
例えば、
Матвей уже держал, сдувая что-то невидимое, хомутом приготовленную рубашку и с очевидным удовольствием облек в нее холеное тело барина.
マトヴェイは何か目に見えないものを吹き払いながら、既に準備の整ったシャツを首輪のような形で持っており、明らかに満足げな様子で、主人の手入れの行き届いた身体にそれを着せたのでした。
Лев Толстой «Анна Каренина»,(Издательство «Э», 2017,p32)
ここだと動詞「сдувать」(吹き払う)が副動詞になり、「сдувая」という形で使われています。
現在語幹の作り方は、動詞のониに対する形からют/ут、ят/атをとるというものになります。
なので、引用文で使用されていた動詞сдуватьはсдуваютに変化させたところからютをとるので、сдуваが現在語幹ということになります。
さて、時制について説明すると副動詞が表す時制は主文の時制と一致します。よって、引用では「Матвей уже держал~」に時制を合わせるので、сдуваяも過去の行為を表します。
それでは他の例も見てみましょう。
И подойдя к двери, он кликнул их.
そして扉の方へ近づきながら彼は彼らを呼んだのでした。
Лев Толстой «Анна Каренина»,(Издательство «Э», 2017,p35)
語尾が-тиで終わる動詞は何かと例外が多い気もしますが、ここでは原則通り。идтиの三人称複数形はидутなので、утをとって、яをつけるとидяという形になります。
副動詞自体は、ロシア語の文章を読んでいると絶対と言っていいほどでてくるものなので、しくみをわかっていると、文章の理解力が上がります。
「完了体副動詞」の方も近いうちに解説をしようと思います。